和解していても過払い請求できる?

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最近は、多重債務の整理をするにあたり、すべての取引履歴を開示し、その取引明細をもとに利息制限法の上限金利で引き直して債務額を確定することが一般的に行われています。そして、計算の結果過払いとなっていれば、過払い金返還請求を行うということも一般的に行われています。

しかしかつては、法律の専門家である弁護士であっても、利息制限法による引き直し計算をすれば、債務は消滅して過払いとなっているにもかかわらず、引き直し計算をせずに債務の存在を認めて、その債務を支払うという和解契約を締結するということがしばしば行われていたのです。

これは、最近では最高裁の判決により取引履歴の開示義務が認められ(平成17年7月19日最高裁キャスコ判決)、履歴を開示しないことが不法行為となったり、また、貸金業規制法43条のみなし弁済規定の適用の余地が事実上なくなったり(平成18年1月13日最高裁シティズ判決)したことにより、容易に債務整理が可能となったことによるものです。かつては、消費者金融に取引履歴を請求してもなかなか履歴の開示がされなかったり、一部しか開示されないということがごく普通にありました。また、利息制限法の引き直し計算に基づいて過払い金を請求すると、みなし弁済の成立を争われ、1年以上も裁判が続くということも普通にありました。このような煩雑な争いを避けて、安易に和解契約をしてしまった例がしばしばあったのです。

では、過去にこのような和解契約を弁護士を介して締結してしまった場合に、いまから過払い請求ができるでしょうか。和解契約には、通常清算条項というものがあり、和解書に記載されている債権債務以外には、何も債権債務がないということを相互に確認しているのが普通です。つまり、いまから過払い請求しようと思ったら、この和解契約の効力を否定しない限りできないということになります。

この点につき、判例は分かれています。和解の効力を否定する判例としては、錯誤による無効を理由としたものと、利息制限法の強行法規性を理由としたものがあります。利息制限法は、強行法規であるから、当事者の合意があったとしても、これに反するものは無効であるというのは、わかりやすい理屈です(
東京地裁判平成11.9.28金融法務事情1574号45頁,判例タイムズ1085号232頁)。しかし、これを認めずに和解を有効とした判例も、簡裁や高裁のレベルではありますので、実際に和解の無効が認められ、過払い請求が認められるかどうかは、やってみないとわからないということになります。

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このページは、webmasterが2011年8月17日 22:32に書いたブログ記事です。

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