2011年6月アーカイブ

平成23年5月26日、日本司法書士会連合会の理事会において、債務整理を司法書士が処理するに際しての報酬に関する指針が定められました。一部の司法書士が、債務整理や過払いに関して、不正な報酬を受領していることを受けての決定です。

そもそも、司法書士の報酬に関しては特に基準はなく、各事務所で自由に設定することができます。そうすることで、事務所間での競争が起きて、高すぎる報酬を設定してもお客さんは来ませんし、安すぎると事務所経営は成り立ちませんので、市場原理により、適切な報酬が自動的に定まるというわけです。しかし、現実は理屈どおりには行かず、高すぎる報酬が設定されていても、それに気がつかずに契約し、後からトラブルになるということが頻発したため、何らかの指針を定めるべきであるということで、今回の理事会決定となったものです。

この指針により、定められたのは、報酬の上限です。低い額の報酬を定めることは、規制の対象となっていません。そしてこの指針は、債務整理事件のみに関するものですので、登記などの事件には適用されませんし、また、とりあえず5年間を限度に適用があります。

具体的な内容としては、
定額報酬については、「債権者一人当たり5万円を超える額を請求し受領してはならない」
減額報酬については、「経済的利益(減額された額)の10%を超える金額を減額報酬として請求し、又は受領してはならない。」
過払金返還報酬については「訴訟によらずに回収した場合、回収額の20%、訴訟により回収した場合、回収額の25%」
となっています。

そして、補足説明として、次のようなことが述べられています。
「司法書士の報酬は、本来、依頼者と司法書士の業務契約の一部として、両者が互いに了解のうえで決定すべきものである。しかし、司法書士と依頼者の間にはその専門的知見に格段の差があり、依頼者は司法書士の意向に従わざるをえない面もある。特に、債務整理事件の依頼者は、現在の状況から抜け出したい一心であり、事件の依頼の際には報酬について十分に理解しないまま契約に至ることもある。司法書士の中には、依頼者のそのような窮状につけ込むかのように高額な報酬で受任する者がおり、特に、過払金返還請求事件の報酬については、暴利行為的な事案もあるといわれている。
(中略)
一方、本来自由であるべき報酬に規制をかけることは慎重なうえにも慎重でなければならない。規制することが競争を阻害し報酬額の固定化や高止まりを招くことがあれば、結果として依頼者の利益を損なうことにもなりかねないからである。本指針は、以上の認識のもと、独占禁止法上における公正取引委員会の考え方を踏まえて制定されたものである。債務整理事件、中でも過払金返還請求事件の司法書士報酬の適正化を図ることで依頼者の利益を保護し、もって司法書士に対する国民の信頼を確保することを目的としている。」

本来自由であるべき報酬に規制をかけるのはなぜか、端的に述べられています。理想は、自由な競争により適切な報酬設定をする事務所ばかりであればよいのですが、そうではない現実がありますので、ある程度の指針を定めることについては、やむをえないことでしょう。
松谷司法書士事務所-過払い請求の費用

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