2011年3月アーカイブ

検証過払い-多重債務問題の解決にならない過払金返還請求の実態-という本を読みました。著者は、「地域経済活性化研究会」となっていますが、貸金業者の立場から書かれた本です。全体としては、「過払い金が既に2兆円を超える異常な規模になっており、貸金業者が倒れかけている。これは本当に正しいことなのか?」という疑問を投げかける論調になっています。

過払い金を請求する立場から書かれた書籍ではないため、返還請求をするためのノウハウが書かれているわけではないですが、過払金返還請求の歴史について詳しく書かれており、利息制限法と出資法の役割や貸金業規制法43条の立法趣旨など、結構わかりやすいです。

過払い金返還請求をするときには、裁判をしなければいけないケースがあります。裁判では、判例を知っているかどうかが重要なことがあります。この本では、過払いに関係する最高裁判例の歴史が分かりやすく整理されていて、その部分については、実際に請求をするときにも役立つかもしれません。

本のタイトルの、「多重債務問題の解決にならない」という部分については、一部の債務について過払い金返還請求をしても、多重債務状態を解消できず、再度新規借り入れを申し込むケースが多数あるということから書かれているようですが、この点については、あまり納得がいきませんでした。多重債務の解決には、過払い金が非常に役立つ場合が多いことを、債務整理の現場で感じているからです。この本を読んだだけの方は、「過払い請求というのは不当なもので、よくないものなのかも。」という、漠然とした感想を持つかもしれません。しかし、この本でも、だからどうすべきという解決策は提示されていないように思いました。

確かに、請求する方が正しく、される方は悪いという単純な問題ではないということは確かです。物事は一方からしか見ないと、偏った見方になってしまうこともあります。そして、世の中では、サラ金の味方となるような論評は多くありません。一度貸金業者の立場から過払い金返還請求の現状について考えてみると、考えが深まると思いますが、そのためには、このような本が非常に役立つと感じました。

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【用語解説】

債務額確定訴訟とは

債務額確定訴訟というのは、債務を負っている債務者が、債権者に対して、自分の負っている債務の額はこの金額で、それ以上ではないということを確定するために提起する訴訟です。たとえば、100万円の請求をされている債務者が、利息制限法の引き直しにより、実は債務は50万円であるというようなケースです。

しかし、通常このような場合は、訴訟をする必要はありません。以前であれば、みなし弁済などを主張して抵抗する金融業者がありましたが、現在では、まず利息制限法による引き直し計算に対して争う業者はありません。したがって、通常は、訴訟をして債務額を確定する必要はないのです。

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